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Multi-Exposure® は最も人気のあるSilverFastの機能の一つです。フィルムスキャンの際、リバーサルフィルムやネガティブフィルムの長所を最大限に生かします。
- 機能概要と仕組
- 使用方法説明動画とサンプル画像
- 数値データによる比較
- 使用条件と使用上のヒント
1. 機能概要と仕組
Multi-Exposureはスキャナーのダイナミックレンジを広げるために当社 (LaserSoft Imaging) が開発した機能です。
ダイナミックレンジとは
スキャナーのダイナミックレンジは、コントラストレンジとも呼ばれ、スキャナーが認識できる輝度の範囲を示し、ダイナミックレンジが広いと、画像の白飛び、黒つぶれが生じにくくなります。
写真のような反射変更とは異なり、透過原稿(白黒フィルム、カラーネガティブフィルム、リバーサルフィルム)は複数のフィルムレイヤーで構成され、光に対する反応が異なります。したがって、透過原稿を取り込む際に原稿のダイナミックレンジが通常はスキャナーの能力を超えてしまいます。
その結果、スキャン時に原稿の極端に明るい部分や極端に暗い部分は、画像のディテールが失われる場合があります。ダイナミックレンジは、イメージングワークフローのすべてのフェーズ(撮影、スキャン、編集、アーカイブ)で、最終データの高品質化のため重要な役割を果たします。ダイナミックレンジが広い場合、仕上がりの質が高いといわれます。
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Multi-Exposureによるダイナミックレンジを広くする仕組
SilverFast Multi-Exposureはダブルスキャン作業により、原稿の最大ダイナミックレンジを獲得できます。(2回目のスキャン作業の露光時間を長くした場合) 1回目のスキャン作業時に原稿の明るい部分の画像のディテールを獲得し、2回目のスキャン作業では、露光時間を長くし、原稿の暗い部分の画像のディテールを獲得します。
2. 使用方法説明動画とサンプル画像
以下よりMulti-Exposureの概要をご覧ください。
〜開発背景〜ダイナミックレンジの達人„Ansel Adams” の手法をスキャナー用へと進化〜
Ansel Adams(1902〜1984) はアメリカの著名な写真家ですが、アナログ写真にダイナミックレンジを巧みに使う達人として知られています。彼は、関係するすべての機器の感度を体系的に計測した最初の人物です。もし彼が、ソフトウェア開発者であったら、SilverFastのMulti-Exposureを開発した可能性が高いです。当社は、彼に続く形で、スキャン作業時のリバーサルフィルムとネガティブフィルムのダイナミックレンジの広さについて研究を重ねました。
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異なる露光時間で原稿を2回露光すると、画像のノイズが減少し、同時に明るい画像と暗い画像領域により多くの画像のディテールが記録されます。このことは、強い反射光と特徴ある質感の表現において、顕著に現れます。
<ノイズリダクション>
左の画像例(建物の屋根の写真)では、Multi-Exposureにより画像ノイズが大幅に減少していることがわかります。
<ダイナミックレンジの最大化>
上の画像(オートバイの写真)では、Multi-Exposureが暗い領域でより多くの画像のディテールを描写しています。
左や上の写真のような違いは、大判プリントで特に顕著になります。
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3. 数値データによる比較
Multi-Exposureでのダイナミックレンジの拡大は、以下のデータでもご確認いただけます。

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上記グラフについて:
ダイナミックレンジ)は、光透過率の逆数の10進数の対数として規定されます。2.0、3.0、または4.0のダイナミックレンジは、スキャナーが100:1、1000:1、または10,000:1のコントラスト比を実装できることを意味します。
Epson Perfection V700の例で、わずかながらもダイナミックレンジが3.11から3.38に増加したということは、実際にMulti-Exposureを備えたV700が1300:1だけでなく2400:1のコントラスト比を認識できることを意味します。次のグラフでこのことがご確認頂けます。
上記のような、ダイナミックレンジの拡大は、通常大きなコストのかかるドラムスキャンのみで可能ですが、例として使用したEpson Perfection V700 でMulti-Exposureをご使用になれば可能になります。
4. 使用条件と使用上のヒント
SilverFast Multi-Exposure 使用する場合の条件をご確認ください。
- Multi-Exposureは全てのスキャナー機種で使用できるわけではありません。一部の機種では、技術的な理由により露光時間が変更できません。ご使用のスキャナー機種が当社のMulti-Exposureに対応するか,下記のリストからご確認ください。
Multi-Exposure 対応スャナー.
- Multi-ExposureはSilverFast スキャナーソフトSilverFast SE PlusとSilverFast Ai Studioにおいてご使用いただける機能になります。また、これらの二つのソフトは、Archive Suite ソフトパッケージの1アイテムでもあります。これらソフトとは別のSilverFastを既に所有されており、Multi-Exposureを使用されたい場合は、割引価格でクロスグレードを受けることができます。
- スキャン原稿は、リバーサルフィルムやネガフィルムのような透過原稿でなければなりません。Multi-Exposureは、写真などの反射原稿には使用できません。尚、そのような反射原稿は、ダイナミックレンジが小さいため、Multi-Exposureは必要ありません。
さらにMulti-Exposureの使用上のヒントをいくつかご紹介します。
- 最適な仕上がりのためにダブルスキャン時に原稿がずれないように作業をしてください。
スキャン作業時にリバーサルフィルムがスキャン中の振動によりずれが生じることがあります。
フィルムフォルダーをご使用いただくか、リバーサルフィルムをテープで固定してください。
- ダイナミックレンジの広いコダクロームフィルムのスキャン(デジタル化)作業は難しいのですが、当社のMulti-Exposureはこの難しい作業に最適です。SilverFast コダクローム機能 と共にご使用をお勧めしています。
- Multi-Exposureは、新しいSilverFast HDRiワークフローに完全に適合します。Multi-Exposureで取り込まれたHDRiスキャナーのRAWデータは、非常にディテールのはっきりした画像となります。そのため、SilverFast Archive Suiteは、高速アーカイブ化とその後の画像編集に最適です。
カラー管理・ベストソフトウェア賞の受賞:「当社(LaserSoft Imaging)は、Multi-Exposure®によるダイナミックレンジの拡大とICCプロファイルの自動生成において高く評価されました。」
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United States Patent
on Multi-Exposure technology
Patent Details
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